中卒・高校中退・高卒からでも、保育士になることはできます。ただし、学歴によって保育士試験をすぐに受けられるかどうかが変わり、多くの場合は「保育の現場での実務経験」か「進学」が必要です。
この記事では、全国保育士養成協議会が公表している受験資格をもとに、学歴別に保育士になるルートと、いちばん早い方法を整理します。
保育士になる2つの方法
- 養成施設ルート:保育士養成施設(保育系の短大・専門学校・大学など)を卒業すると、試験を受けずに資格が取れます
- 試験ルート:保育士試験(筆記・実技)に合格して資格を取ります
養成施設に入るには、原則として高校卒業(または同等の資格)が必要です。試験ルートは、学歴によって受験資格の条件が変わります。
学歴別:保育士試験の受験資格
| 学歴 | 受験資格の条件 |
|---|---|
| 中卒・高校中退 | 児童福祉施設などで5年以上かつ7,200時間以上、子どもの保育に従事した経験があれば受験できる |
| 高卒(平成3年3月31日以前に卒業) | 実務経験なしで受験できる |
| 高校の保育科卒(平成8年3月31日以前に卒業) | 実務経験なしで受験できる |
| 高卒(平成3年4月1日以降に卒業) | 児童福祉施設などで2年以上かつ2,880時間以上の実務経験があれば受験できる |
※実務経験として認められる施設は、保育所などの児童福祉施設のほか、認定こども園、小規模保育事業、放課後児童クラブ(学童保育)などです。保育所以外の施設や認可外保育施設の場合は、条件を満たしたうえで都道府県知事の認定が必要になることがあります。詳しくは全国保育士養成協議会の受験資格のページで確認してください。
中卒・高校中退から保育士になるルート
ルート1:保育補助として5年働いて受験する
保育所などでは、資格がなくても「保育補助」として働けます。そこで5年以上かつ7,200時間以上働けば、中卒のままでも保育士試験を受けられます。
働きながら現場の仕事を覚えられ、お給料ももらえるのが利点です。一方で、受験できるまでに最低5年かかります。
ルート2:高校卒業の資格を取ってから進む
通信制・定時制の高校に入って卒業すれば、高卒と同じルートに進めます(下の「高卒から保育士になるルート」を参照)。高卒認定試験(旧大検)に合格する方法もあります。
高卒の資格があれば、保育士養成施設(短大・専門学校)に進学して、試験なしで資格を取る道も開けます。
なお、高卒認定に合格した場合の受験資格の扱いは、個別に確認が必要です。受験を申し込む前に、全国保育士養成協議会に問い合わせておくと安心です。
中卒から最短で保育士になるには
年齢や状況によって変わりますが、目安は次のとおりです。
| ルート | 資格を取るまでの目安 |
|---|---|
| 保育補助で5年働いて受験 | 5年+試験 |
| 通信制高校(約3年)→ 保育補助で2年 → 受験 | 5年前後+試験 |
| 高卒認定 → 保育の専門学校・短大(2年) | 2〜3年(試験なし) |
まだ若く、学校に通う時間とお金が用意できるなら、高卒認定から養成施設へ進むルートがいちばん早くなります。すぐに働きたい人は、保育補助として現場に入るルートが現実的です。
高卒から保育士になるルート
平成3年3月31日以前に卒業した人
実務経験がなくても、すぐに保育士試験を受けられます。独学や通信講座で勉強して受験するのが最短です。
平成3年4月1日以降に卒業した人
次の3つから選びます。
- 保育補助などで2年以上かつ2,880時間以上働いて受験する:働きながら目指せる
- 保育士養成施設(短大・専門学校)に進学する:2年で、試験なしで資格が取れる。昼間に通えない人は夜間部や通信制もある
- 大学・短大に2年以上在学して62単位以上を取る:保育系以外の学部でも、この条件を満たせば受験資格が得られる
すでに働いている人や、学費をかけたくない人は1、高校を卒業したばかりの人は2が向いています。
保育士試験の内容と合格率
- 試験は年2回:前期(筆記4月・実技6月)と後期(筆記10月・実技12月)
- 筆記試験:保育原理、子ども家庭福祉、保育の心理学など9科目。各科目6割以上で合格
- 実技試験:音楽・造形・言語から2分野を選ぶ
- 科目合格:合格した科目は翌々年まで(3年間)免除されるので、何回かに分けて合格をめざせる
- 合格率:例年20〜30%前後(令和6年度は26.3%)
| 令和9年(2027年)の試験日程 | |
|---|---|
| 前期 | 筆記:4月17日(土)・18日(日)/実技:6月27日(日) |
| 後期 | 筆記:10月23日(土)・24日(日)/実技:12月12日(日) |
受験の申込期間は、前期分が2026年12月下旬ごろに発表される予定です。
合格率や科目ごとの難易度は、こちらの記事で詳しくまとめています。
保育補助として働くときのポイント
- 勤務時間を記録しておく:受験資格は「年数」と「総勤務時間」の両方が必要です。パート勤務だと時間が足りないことがあるので、勤務先に証明してもらえるよう確認しておきましょう
- 施設の種類を確認する:認可外保育施設などは、実務経験として認められる条件があります。働く前に確認しておくと安心です
- 資格取得支援がある職場を選ぶ:受験費用や講座代を補助してくれる保育所もあります
学校選びに迷ったら
短大・専門学校・通信制など、養成施設の選び方はこちらの記事でまとめています。
まとめ
- 中卒・高校中退でも、保育補助として5年以上・7,200時間以上働けば保育士試験を受けられる
- 高卒の資格を取れば、実務2年で受験するか、養成施設で試験なしで資格を取る道が開ける
- 平成3年3月31日以前の高卒なら、すぐに受験できる
- 保育士試験は年2回。合格率は20〜30%前後で、科目ごとに分けて合格をめざせる


