保育士資格試験は、その難易度の高さから、合格率が低いという印象を持たれる方も多いでしょう。
本記事では、保育士資格試験の合格率について、試験別の合格率を紹介しつつ、合格率が低い理由や、試験内容、出題範囲などを詳しく解説します。また、試験に合格するための準備法や受験勉強のヒントなどもお伝えしますので、保育士資格を取得される方はぜひご一読ください。
保育士資格試験は難易度が高い?
保育士は保育所などで子供の保育の担い手であり、国家資格が必要です。国家資格を得るためには、試験に合格しなければいけません。
9教科ある筆記試験を合格したら、実技試験を受けてそれに合格をすることができれば晴れて保育士となることができます。
保育士の合格率って?
保育士の過去の合格率は、都道府県によっても異なりますが、大体15%前後推移しています。
合格率を調べてみると、その中で一番難しかった時は、11.4%で、一番簡単だった時は、18.6%とその年によって難易度というものは異なってきます。
難易度としては、科目別の合格制を導入していて科目ごとに6割とれていれば合格となります。一度合格した科目は3年間有効になるので、難易度が高いとは言えきちんと勉強を続ければ、合格できない試験ではありません。
試験内容は、子どもの保健や保育の心理学の他にも、社会福祉についても出題されます。ただし教育原理と社会的養護は同一年に両方合格しなければならず、片方の科目のみの合格でも、3年間有効になることはできませんので注意が必要です。
筆記試験に合格した者のみが、実技試験を受けることができ、実技試験も科目ごとに6割以上の得点で合格することが条件で、難易度はそれほど高くはありません。
また、過去5年の合格率では、養成学校を卒業した人だけではなく、独学で保育士になるための勉強をした人も多くみられますよ。
試験別合格率
筆記試験(一次試験)
厚生労働省の「保育士試験の実施状況(令和3年)」を見てみると、受験者数は83,175に対して合格者は16,600でした。合格率は約19.9%でした。
過去の筆記試験の合格率の推移と比較しても大きな差はないため、例年20%前後が筆記試験の合格率の目安と言えるでしょう。
実技試験(二次試験)
実技試験の難易度は低く、合格率はおよそ8割といわれています。
過去の推移を見ても例年80%を超えており、筆記試験よりも合格率が高いため難易度は低いと言えるでしょう。
合格率が低い理由とは
保育士の合格率を見てみると、2割程度だということがわかります。なぜそんなに合格率が低いのでしょうか?
筆記試験の出題範囲が広い
一般的に言われているのが、筆記試験の範囲が広いというが挙げられます。
筆記試験は全部で9科目あり、範囲も広く覚えることが多いです。なかなか暗記でも覚えることがこの範囲の広さで苦戦している方は多いようです。
点が取りにくい難易度の高い科目がある
「社会的養護」と「社会福祉」の科目を苦手としている方も多く、出題範囲が広くまた暗記するだけでなく文章の理解力を試される問題も多いのが特徴でそれで苦戦をしている方も多い科目。
実務試験を落としがち?!
実技試験の合格率は8割程度とあり合格率は高いように見えますが、10人に2人は落ちていることになります。
試験内容は難しいことはなくちゃんと対策をしていれば合格するといった感じですが、筆記試験に力を入れすぎて落ちてしまうといったケースが多いようです。「簡単だろう」と思って、当日ほとんど練習せずに受けたら、緊張してしまい点数がまったく取れなかったなんていうエピソードもあるみたいです。なので、筆記試験ばかりでなく実務試験もしっかりと対策を行っていきましょう。
保育士試験の内容、出題範囲
筆記試験
出題科目 | 出題範囲 | 問題数 |
---|---|---|
保育原理 | ・保育の意義 ・保育所保育指針における保育の基本 ・保育の目標と方法 ・保育の思想と歴史的変遷 ・保育の現状と課題 |
20問 |
教育原理 | ・教育の意義、目的及び児童福祉等との関連性 ・教育の思想と歴史的変遷 ・教育の制度 ・教育の実践 ・生涯学習社会における教育の現状と課題 |
10問 |
社会的養護 | ・現代社会における社会的養護の意義と歴史的変遷 ・社会的養護と児童家庭福祉 ・社会的養護の制度と実施体系 ・施設養護の実際 ・社会的養護の現状と課題 |
10問 |
児童家庭福祉 | ・現代社会における子ども家庭福祉の意義と歴史的変遷 ・児童家庭福祉と保育 ・児童家庭福祉の制度と実施体系 ・児童家庭福祉の現状と課題 ・児童家庭福祉の動向と展望 |
20問 |
社会福祉 | ・現代社会における社会福祉の意義と歴史的変遷 ・社会福祉と児童家庭福祉 ・社会福祉の制度と実施体系 ・社会福祉における相談援助 ・社会福祉における利用者の保護にかかわる仕組み ・社会福祉の動向と課題 |
20問 |
保育の心理学 | ・保育と心理学 ・子どもの発達理解 ・人との相互的かかわりと子どもの発達 ・生涯発達と初期経験の重要性 ・子どもの発達と保育実践 ・生活や遊びを通した学びの過程 ・保育における発達援助 |
20問 |
子どもの保健 | ・子どもの健康と保健の意義 ・子どもの発育・発達と保健 ・子どもの疾病と保育 ・子どもの精神保健 ・環境及び衛生管理並びに安全管理 ・健康及び安全の実施体制 ・保健活動の計画及び評価 |
20問 |
子どもの食と栄養 | ・子どもの健康と食生活の意義 ・栄養に関する基本的知識 ・子どもの発育・発達と食生活 ・食育の基本と内容 ・家庭や児童福祉施設における食事と栄養 ・特別な配慮を要する子どもの食と栄養 |
20問 |
保育実習理論 | ・保育実習理論 ・保育実習実技 |
20問 |
2020年度(令和2年度)以降の出題科目・範囲の変更
実技試験
実技試験は選択制、「音楽」「造形」「言語」の3つの分野の中から2つを選択。
分野 | 内容 | 配点 |
---|---|---|
音楽 | 幼児に歌って聴かせることを想定し、課題曲を弾き歌いする 楽器は、ピアノ、ギター、アコーディオンから選ぶ |
50点 |
造形 | 45分間で、試験時間内に提示された保育の一場面を絵画で表現する | 50点 |
言語 | 3分間で、3歳児クラスの子どもにお話をすることを想定し、 課題のお話一つを選択し読み聞かせする |
50点 |
まとめ
結論から言うと、保育士資格試験は難易度が高いため合格率は低いです。筆記試験の出題範囲は広く、しっかりと準備をしていく必要があります。実技試験も、試験内容をしっかりと理解し対策を行っていけば合格することが可能でしょう。いずれにしても、しっかりと対策を行っていけば難易度は高いものの一発合格をすることも可能でしょう。一発合格を目指すのであれば効率的・計画的に学習を行っていくことをお勧めします。